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ニュースリリース

ハイブリッド給湯器のDRready実証実験を開始
~電力需給の調整力としての活用を検証~

2025年02月03日

株式会社エナリス
リンナイ株式会社

株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:都築実宏、以下、エナリス)とリンナイ株式会社(本社:愛知県名古屋市、社長:内藤弘康、以下、リンナイ)は、ハイブリッド給湯・暖房システム(以下、ハイブリッド給湯器)ECO ONE(エコワン)のDRready(ディーアールレディ)[1],[2]実証実験(以下、実証)を2025年2月より開始します。

本実証では、卸電力取引市場や容量市場、2026年度から始まる需給調整市場の低圧リソース[3]活用に向けたハイブリッド給湯器の可能性を検証します。

■実証の背景
再生可能エネルギー(以下、再エネ)主力電源化に向け、再エネの不安定な出力を補う調整力の調達手段としてデマンドレスポンス(以下、DR)に注目が集まっています。特に、家庭用蓄電池やヒートポンプ給湯器、電気自動車など、家庭が所有する低圧リソースは今後の普及拡大が見込まれており、これらを通信ネットワークを介して遠隔操作しDRに対応させるDRreadyへの取り組みが、経済産業省を中心に広がっています。

■実証の目的
エナリスでは、2016年度より経済産業省のVPP[4]実証に参画し、高圧リソース及び低圧リソースの活用について実証を進めてきました。これまでの実証で培った制御技術にMEC[5]を用いることにより、大量のリソースを群で管理・制御を行う仕組みを構築しています。今回の実証では、エナリスのアグリゲーション技術と知見でハイブリッド給湯器のポテンシャルを最大化し、社会インフラとして活用する可能性やDRready機器としての対応、アグリゲーションビジネスへの実用化を検証していきます。

リンナイは2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2030年のハイブリッド給湯器年間販売30万台を計画しています。「地球環境問題への対応」と「生活の質向上」というリンナイの取り組むべき社会課題解決への貢献に加え、DRreadyへの対応に向け、今回の実証を通じ、ハイブリッド給湯器を需給調整市場の調整力・容量市場の供給力へ活用するための仕組みや条件等について検討を進めます。

■ハイブリッド給湯器のDRの可能性
ハイブリッド給湯器は、電気ヒートポンプとガス給湯器を組み合わせ、優れた省エネ性能を発揮する家庭用給湯・暖房システムです。タンクユニットには、通常時、ヒートポンプユニットで大気中の熱を活用して加熱した必要最低限のお湯を貯めていますが、タンク内のお湯がなくなった場合は、ガス補助熱源機に運転を切り替えて必要なお湯を瞬時に供給することが可能です。ヒートポンプ給湯器に比べて“湯切れの心配がない”点が特長です。
本特性により、電力が余剰する時間帯に積極的にお湯を沸かして電力消費量を増やす「上げDR」、冬季などの需給がひっ迫する時間帯に沸き上げを停止することで電力消費量を下げる「下げDR」の両DRをユーザーの利便性を損なうことなく行えるため、より多くの供出可能量の確保が期待できます。
一方で、省エネに特化した機器である為、1台当たりの電力消費量が抑えられていることから、多数のリソースを集めつつ全体の制御精度を維持することが、本リソース活用に向けた課題とされてきました。今回、MEC技術を用いて他の機器との組み合わせも含めたリソースの群管理・群制御を行うことにより、この課題を解決できるかを検証します。

エナリスとリンナイは、今回の実証を通してハイブリッド給湯器をはじめとする低圧リソースについて、需給調整市場の調整力・容量市場の供給力としての活用の道を開拓し、再エネ主力電源化、脱炭素社会の実現に貢献します。

▲ハイブリッド給湯器 ECO ONE

【実証概要】

実証期間2025年2月~2026年1月(予定)
対象リソースハイブリッド給湯器ECO ONE(実フィールド設置)  最大100台
家庭用蓄電池(シミュレータによる模擬) 約100台
実証エリア本州エリア (北海道、沖縄を除く)
実証内容・ハイブリッド給湯器をエナリスの分散型エネルギーリソースマネジメントシステム(DERMS[6])と連携
・上げDR/下げDRを想定したDERMSによる群制御を実施
・MECサーバーによる群制御(協調制御/高速フィードバック制御)
・特性の異なる複数のリソース群を組み合わせた複合制御
検証項目①ハイブリッド給湯器の群制御による需給調整市場三次調整力②を想定した制御実証(容量市場、卸電力取引市場含む)
➁ハイブリッド給湯器+家庭用蓄電池のリソース群の複合制御による、需給調整市場二次調整力②,三次調整力①および②等を想定した制御実証等

[1] DR: Demand Responseの略。電力供給量に合わせて需要量をコントロールする仕組み。節電や電力使用時間帯のシフトなどもその一つ。

[2] DRready: 家庭など需要家側の機器を、通信ネットワークを介した遠隔操作によるDRに対応させること。

[3] 一般家庭など低圧需要家に設置されている家庭用蓄電池などの設備。電力の需給調整市場において調整力としての役割を担う。

[4] Virtual Power Plantの略。小規模の電源設備をまとめて管理し、全体として発電所のような機能を得るシステム。

[5] Multi-access Edge Computingの略。サーバーを端末の近くに分散配置し、ユーザーの近くでデータ処理を行うことで低遅延な通信を提供する技術。
[6] Distributed Energy Resource Management Systemsの略。太陽光発電システムや蓄電システムなどの分散型電源を統合する管理システム。

【参考】

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