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活動報告

横浜市立緑園学園でエナリス社員と盲導犬が初の出前授業

2022年12月23日

「タッチへの指示はどうして英語を使うんですか?」

「靴を履き替えるときは、どうするんですか?」

体育館で元気いっぱいに手を挙げて質問する子どもたち。

エナリスは12月13日(火)、横浜市立義務教育学校 緑園学園の4年生約130名と4人の担任の先生方に向けて、「盲導犬と出前授業!視覚障がい者と働ける社会のために自分にできることを考えよう」をテーマに90分間の“出前授業”を行いました。エナリスにとって出張形式で行うのは初めてのことです。

出前授業? エナリスがなんで? そう思った方もいらっしゃるかもしれません。

エナリスが出前授業を始めたきっかけは、4つのマテリアリティ(重点的に取り組む課題)の制定です。この中の「コンプライアンス」では、未来を担う子どもたちに社会課題を伝え、子どもたちの声や視点を知り、エナリスや社会の成長に活かしていくことも役割と考えています。

出前授業のテーマも「脱炭素」「イノベーション」「ダイバーシティ&インクルージョン」といったエナリスのマテリアリティを題材に、子どもたちと一緒に社会課題に向きあっていきたいと思っています。

そして今回の出前授業のテーマは「ダイバーシティ&インクルージョン」。エナリス東京本社には、従業員のためのマッサージルームがあり、マッサージ師として働く早川美奈子(人事部)は視覚障がいを持っています。「私は目が見えないので、いつも人に助けてもらってお礼を言っている立場です。でも、マッサージをすると“本当にありがとう”と逆に人から感謝してもらえるんですよね。だからマッサージの仕事は大好きです」と話します。早川のマッサージルームは社内でも人気で、癒しやリラックスの時間になっている社員も少なくありません。 そんな早川が出前授業で伝えたこととは?まずは、当日のようすをお読みください!

包丁片手にキュウリをトントン、盲導犬タッチと階段昇降

学校に伺って先生役を担ったのは、早川と、早川をいつもそばで支える盲導犬のタッチ。授業は、視覚障がいを持つ早川がプライベートでは子育てを経験し、家事もこなしている話から始まりました。

「目が見えない人にとって、どんな家事が大変だと思う?」と問いかける早川に、「料理~」「洗濯?」「掃除~」と次々に答える子どもたち。「洗濯機はよく見ると点字があるんだよ」と応じた早川は、さらに「目の見えない私も包丁を使って料理ができると思う?」と問いかけます。そして、用意された包丁を右手に持ちながら、左手を添えたキュウリをまな板の上でトントンと軽快に切り出しました。まっすぐのスライス、斜め切り、千切り、みじん切りと、次々に切り出す様子はスクリーンにも投影され、子どもたちはその様子に真剣に見入っていました。

続けて、文字を音声で伝えるスマートフォンの機能や、見えない人が商品を判別する仕掛けが施されたユニバーサルデザイン商品が開発されていること、お札を判別したり色を識別したりするグッズがあることなどを紹介しました。

授業の後半は、早川の行動をガイドする盲導犬のタッチについて実演を交えて紹介。タッチが早川に階段の場所を知らせ、安全に上り下りするようすを披露したほか、「盲導犬は赤・青・黄の信号を区別できるでしょうか?」とクイズ形式での問いかけに、子どもたちは「区別できる」「できない」を考え、早川に対してそれぞれが拍手で回答を知らせました。盲導犬は色の認識が難しいため信号を区別できないことを早川が伝えると、正解した子どもたちが小さくガッツポーズするというほほえましい姿も見られました。盲導犬は、ユーザーに絶対服従するようにトレーニングされているけれど、危険だと判断した時は「利口な不服従」という行動をとってユーザーに危険を知らせると、早川は説明しました。

最後の質疑応答では「熱いフライパンからお皿に食べ物を移す時はどうしているんですか?」「命令は何種類くらいあるんですか?」「盲導犬は普通のドッグフードを食べるんですか?」「電車に乗れるんですか?」など、すべてをご紹介できませんが、時間をオーバーするくらいたくさんの質問が出ました。例えば「命令はどうして英語なんですか?」という質問。早川いわく、犬を呼ぶときに、日本語だと“おいで”“来い”“いらっしゃい”などいろいろな言い方ができてしまうため、的確に指示を伝えるために英単語の“カム”を使うんだそうです。みなさんご存知でしたか?

挙手してくれたのに、時間がなくて質問をきいてあげられなかった皆さん、ごめんなさい🙇

授業の最後には、「今日の話を3人に伝えてね」という“宿題”を子どもたちに課した早川。今日の話が一人でも多くのお子さんの心に残り、誰かに伝えたくなる授業になっていればうれしいです!

エナリスにとって初めてとなる出前授業は、緑園学園の明るい先生方の笑顔にも助けられました。本当にありがとうございました!

出前授業で伝えられることはやりがい

先生役を務めた早川は、実は2019年にエナリスに入社する以前に、個人で出前授業を行っていた時期がありました。視覚障がいを持つ人や盲導犬のことを一人でも多くの人に知ってもらいたいという思いがあったからです。しかし、今回のように企業の一員として出前授業を行うのは、早川にとっても初めてのこと。早川は、「マッサージという本業をする一方で、こうして伝える仕事に携われるのは画期的なこと」とやりがいに触れ、「これまでとの大きな違いは、エナリスという名前を背負っているということ。電気の会社が盲導犬の話をしてくれたということが子どもたちの記憶に残っていけばうれしいです」と話しています。

自分にはない強みを持つ者同士が力を合わせやすい環境に

エナリスのマテリアリティ「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」は、それぞれに異なったバックグラウンドや能力を持った人たちが、活き活きと働ける職場、能力を発揮できる組織づくりを目指すことを1つの目標にしています。

身内の話になりますが、、、初めての出前授業となった今回は、社内的には広報部と人事部による初のタイアップ企画でもありました。同じ会社とはいえ、職種も普段の仕事内容も、スキルも経験値も、目にしている世界も、いろんなことが異なるメンバーが集まっての企画の組み立てや実施は珍道中!?時には認識が違ってしまうなど、当初は戸惑いもありました。でも、「このほうが子どもたちに伝わるだろう」「子どもたちに楽しみながら知ってほしい」という子どもへの思いを共通のゴールとして持っていたことに加え、自分にはない強みを持つ仲間への期待があったので、徐々に一つにまとまり、無事に本番を迎えることができました。

自分らしく活き活きと働きたいと願う人が、自分にはない強みを持つ人と出会い、想像力と思いやりを持って力を合わせられる環境。そんな社会や組織をつくることがダイバーシティ&インクルージョンなのかなあ―――。

初めての出前授業をやってみての感想です。子どもたちに考えるきっかけを伝えるつもりが、私たち自身にとって学びを得る場となったのかなと感じました。

これからもエナリスの出前授業にご期待ください。

写真はすべて©ENERES

取材・文責 エナリス広報部

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