オペレーションセンター担当者インタビュー「電気の動きから社会の動きが見える面白さ」
2022年07月28日電気は、在庫を持つことができないという特異な性質を持っています。そのため、電気の発電量と需要量を一致させる「需給管理」という業務があります。
エナリスは創業以来、多くの新電力の需給管理を代行。「需給管理」を担当する部門では、24時間365日にわたって電気の需要と供給のバランスをとる業務にあたっています。
今回は、需給管理業務の面白さややりがいなどについて、当社調達オペレーション部の藤井啓伍に聞きました。
「エアコン使うから電力需要が増すだろう」などと日々の電力需要を予測
私は、需給管理を担う調達オペレーション部オペレーションセンターに所属しています。同センターは主に3つの業務を行っています。
1つ目は電力需要の予測。「天気予報では猛暑日になりそう。エアコンを使う家庭や企業が増えるから、電力需要は増すだろう」「A工場は休日で稼働停止中だから需要は下がるだろう」などの情報から、翌々日に使われる電力量を予測します。
2つ目は、予測した電力量に対応する電気を調達すること。量の確保と同時にできるだけ安い価格で調達することが重要になります。調達には卸電力取引市場や市場外での相対取引などを活用します。前日のスポット市場と当日の時間前市場があり、この時間前市場に対応するためのチームは24時間体制でのシフト勤務です。
3つ目の業務は、予測した電力量とこれに対応する調達をバランスさせた計画をOCCTO(電力広域的運営推進機関)[2]へ提出することです。OCCTOは、日本の全ての小売電気事業者から提出された計画を集約して、日本全国の電力需給バランスを保っています。
私はオペレーションチームの一員として、需要予測、スポット市場での調達、OCCTOへの計画提出などの業務に携わっています。
電気と社会の動きは連動している
予測・調達・報告など横断的な仕事を通じて感じているのは、電気と社会の動きは連動しているということです。新型コロナウィルス流行中は、在宅勤務の急増に伴い家庭の電力需要が伸びる一方、レジャー施設の需要がガクッと落ちるのを目の当たりにしました。しばらくしてレジャー施設の電力需要が回復するのを見て、施設の再開を実感することもありました。
逆に考えると、ひとたび停電すれば社会のあらゆる活動が止まるわけです。こうしたことを業務の中でふと感じる時に、社会インフラとしての電力の重要性を再認識しますね。
社内外のコミュニケーションが大事
電力需要の予測と電力調達のマッチングの精度をあげるためには、社内外の関連部門との連携が欠かせません。需要予測業務では、天気予報やカレンダーだけでなく、住宅か店舗かビルか工場か、供給電圧は低圧か高圧かといった複数の要素を踏まえることが必要です。
また、エナリスが需給管理を代行している新電力との連携も大切。新電力のお客さまに関する休業情報なども事前に把握して需要予測に活かします。
社内の営業担当とのコミュニケーションも重要になってきます。
電力は社会にとって不可欠なエネルギー
需要と供給が一致しないでずれることをインバランスと呼びますが、OCCTOに提出した計画にインバランスが発生すると追加の費用負担が必要となりますので、エナリスの経営に大きな影響を与えます。同時に、エナリスが需給管理を受託している他の新電力の経営にも大きな影響を及ぼしますから、緊張感も常にあります。その重責を入社2年目で任されていることにもやりがいを感じます。
発電量が天候に左右されやすい再生可能エネルギーが主力電源になっていくと、需給管理の仕事はより複雑に、高度に、そして重要になっていくと思います。自分が担っている業務の責任の重さとやりがいの両方を感じながら、これからも社会にとって不可欠なエネルギーである電力の安定供給に貢献していきたいと思います。
[1] 電気を供給することを主とする事業者
[2]OCCTOは日本全国の電力の安定供給を維持する司令塔的な機関
写真はすべて©ENERES
取材・文責 エナリス広報部