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ブロックチェーン技術を活用した電力取引サービス等の商用化に向けた検討を開始

2017年05月31日

~ ブロックチェーンソフトウェアのユースケース・パートナーに参画 ~

エネルギー事業を展開する株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林昌宏、以下、エナリス)は、日本のブロックチェーンスタートアップ企業であるソラミツ株式会社(本社:東京都港区、共同最高経営責任者:岡田隆/武宮誠、以下、ソラミツ)が主導して開発を進める、国産ブロックチェーンソフトウェア「Hyperledger Iroha(以下、いろは)」の電力領域におけるユースケース・パートナーとなり、ブロックチェーン技術を活用した様々な電力サービスの検討を開始しましたことをお知らせいたします。

本取組みは、ブロックチェーン技術をスマートメーターに組み込んだシステム開発の実績をもつ株式会社会津ラボ(本社:福島県会津若松市、代表取締役:久田雅之、以下、会津ラボ)の開発協力と、「いろは」のブロックチェーン技術を用いた学内通貨実証の経験を持つ公立大学法人会津大学(所在地:福島県会津若松市、理事長兼学長:岡嶐一、以下、会津大学)の技術協力のもとに推進し、新しい電力サービスの商用化に向けた実証等を行ってまいります。

エナリスは、本取組みによって、再生可能エネルギーや個人が創出する電力(創エネ、省エネ、蓄エネ)を有効に活用できる分散型エネルギー社会への移行に貢献し、将来的に個人が自由に電力取引をできる社会の実現を目指してまいります。

1.ブロックチェーンとは

仮想通貨の中核技術として広く知られているブロックチェーンは、二者間の取引を効率的かつ検証可能な方法で記録することができる分散台帳です。

これまでの中央管理型のデータベースでは、一つの管理者(中央管理者)が取引情報を集約・管理し、管理者を通して取引が実行されるのに対し、ブロックチェーンは、取引の当事者同士が直接取引情報をやり取りし、その取引情報を複数の台帳(分散台帳)で記録します。データを一カ所に集めずに、データを分散・共有することで、中央管理者を必要とせず、データ改ざんを防止し、情報システムが止まりにくいという特長をもちます。

個人間の速やかで安全な取引を可能にする技術として注目されており、海外では、既に、電力データを「ブロックチェーン」に記録したうえで、電力取引などに活用する試みが始まっています。

2.「いろは」について

「いろは」は、ソラミツが主導して開発を進める、日本発のブロックチェーンのオープンソースソフトウェアであり、米IBMの「Fabric」、米Intelの「Sawtooth Lake」に続いて、世界で3番目にHyperledgerプロジェクト(Linux システムの普及に取り組む非営利のコンソーシアムである、Linux Foundationが立ち上げたブロックチェーン技術の普及に向けての共同研究プロジェクト)に受諾されました。

国産のブロックチェーン基盤である、「いろは」の主な特長としては、以下が挙げられます。

  • 高速スピードで非常に高いパフォーマンスを実現するアプリケーション構築が可能
  • 開発者に理解しやすく、開発しやすいシンプルな設計
  • モバイルアプリが簡単に開発できるiOS とAndroid のライブラリーを用意

3.本取組みの意義

エナリスでは、近い将来、再生可能エネルギーの発電設備や電気自動車(EV)、蓄電池がさらに普及し、自由に電力を融通し合うことによって、電力を効率的に活用できる分散型エネルギー社会が訪れると考えています。

しかし、分散型エネルギー社会を実現するためには、法人や個人、さらに電気事業者が自由に、簡単に電力取引を行える環境が整う必要もあります。

「いろは」のブロックチェーン技術は、デジタル決済、契約管理、サプライチェーン・マネジメントなどへ当事者間で対応することを可能にします。これにより、例えば、小売電気事業者間で台帳を共有することにより、事業者間での取引や複雑な精算を低コストかつ簡単な手続きでセキュアにできるようになることが想定されます。また、消費者は、ライフスタイルに合った多彩な料金メニューや付加サービスを、簡単な手続きで利用できるようになる可能性があります。さらに、将来的には個人間の余剰電力取引やネガワット取引も、ブロックチェーン技術を活用することで可能になると考えています。

4.今後の展開

エナリスでは、今年3月に発表した中期経営計画の中で、「でんきがプラスワン(仮称)」を将来の新しいプラットフォームサービスとして公表しておりますが、ブロックチェーンを活用したサービスもその機能の一つとして、小売電気事業者などに提供することを想定しています。