J-クレジットMRV支援システム『eneGX MRV’S』の運用開始
~環境省「J-クレジット制度におけるMRV支援システムの運営者」に採択~
2025年04月24日
株式会社エナリス
株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:都築実宏、以下エナリス)はこのたび、環境省が募集する「J-クレジット制度におけるMRV[1]支援システム[2]の運営者 」に採択されました。
これを受けて2025年度より、J-クレジット制度方法論「太陽光発電設備の導入(EN-R-002)[3]」 を対象としたJ-クレジットの検証工程業務(測定・報告・検証から管理まで)の効率化を支援する当社オリジナルMRV支援システム『eneGX MRV’S(エネジーエックス マーブス)』の実運用を開始します。
太陽光発電設備を導入する法人等は、『eneGX MRV’S』を利用することで、J-クレジットを効率的に創出することが可能になります。

■背景
2023年にカーボン・クレジット市場[4]が設立され、今年3月には東京都が自治体初のカーボンクレジット取引システムの運営を開始。さらに2026年度には排出量取引制度(GX-ETS)の開始が予定されるなど、企業が排出するCO2に価格をつけることにより、CO2排出を抑えるように誘導する“カーボンプライシング”の導入が拡大しつつあります。こうした流れを受けて、今後特に需要が高まると想定されているのがJ-クレジットです。
J-クレジット制度は、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。「省エネ設備の導入」や「再生可能エネルギーの導入」など、温室効果ガス削減・吸収につながるさまざまな取り組みからJ-クレジットを創出することが可能です。
しかし、実際にJ-クレジットを創出するまでには、
▶温室効果ガス排出削減・吸収をどう実施するか計画した上で、妥当性確認(審査)を経たプロジェクト計画書を登録
↓
▶プロジェクト計画書に則って温室効果ガス排出削減・吸収活動を実施し、燃料使用量等を計測(モニタリング)
↓
▶モニタリング結果に基づき温室効果ガス排出削減・吸収量を算定
↓
▶モニタリング報告書を作成
↓
▶検証(審査)を経て認証申請・登録
といった手間がかかり作業負荷の高い一連の工程を踏む必要があります。このため、人手の少ない法人等はJ-クレジットの創出が難しく、創出量が増加しにくいという課題があります。
■エナリスオリジナルのMRV支援システム『eneGX MRV’S』とは
こうした課題解消を目的として、環境省は2020年から、ブロックチェーンを活用したJ-クレジット創出プロセスのデジタル化について検討を進め、J-クレジット創出に向けた測定・報告等の一連の検証工程業務の効率化を支援かつJ-クレジット登録簿システムと連携するシステム環境(MRV 支援システム)の構築を目指してきました。
そしてこのたび、J-クレジット制度においてMRV支援システムを運用する運営者の一社として、エナリスが採択されました。
エナリスが運用するMRV支援システムは、ブロックチェーン技術と環境省が主導する実証への参画等を通じて得た知見を結集して構築した当社オリジナルの『eneGX MRV’S』です。「太陽光発電設備の導入(EN-R-002)」を対象としたJ-クレジットの検証に必要な一連の工程業務(測定に必要なデータ収集から報告、さらには申請まで)の効率化を支援し、国のJ-クレジット登録簿システム等と連携しています。創出されたクレジットに関する情報をブロックチェーンに記録し、創出後のJ-クレジット情報の管理も行います。
エナリスは今後、審査機関との協議を経て、『eneGX MRV’S』をエナリスが登録するJ-クレジットプロジェクト『エナリスPV価値創出プロジェクト』に活用していく計画です。
■エナリスのJ-クレジット事業の今後の展開
『eneGX MRV’S』の今後の展開に向けては、さらなる効率化を支援できるシステムへと機能拡充に取り組んでまいります。また、国の検討結果を踏まえながら、「太陽光発電設備の導入(EN-R-002)」以外の方法論にも対応するシステムへの拡充を検討していきます。
将来的なエナリスのJ-クレジットの事業の展開としては、J-クレジットの創出支援だけでなく販売・買取のサービスも充実させていく計画です。
エナリスは、『eneGX MRV’S』の提供を通じてJ-クレジットの創出と流通を支援しながら、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
[1]MRVとは、Measurement, Reporting and Verification の略語。https://japancredit.go.jp/about/mrv/
[2] https://www.env.go.jp/press/press_04626.html
[3] J-クレジット制度における方法論「太陽光設備の導入(EN-R-002)」では、次の条件の全てを満たす場合にプロジェクト登録をすることができる。
参考:https://japancredit.go.jp/pdf/methodology/EN-R-002_v2.2.pdf
- 条件 1:太陽光発電設備を設置すること。又は設置済みの太陽光発電設備に対して追加的な設備投資を実施すること
- 条件 2:原則として、太陽光発電設備で発電した電力の全部又は一部を、自家消費すること
- 条件 3:太陽光発電設備で発電した電力が、系統電力等を代替するものであること